浜野佐知監督からの挨拶

『百合子、ダスヴィダーニヤ』を応援してくださった皆さまへ


 映画『百合子、ダスヴィダーニヤ』が制作を開始してから1年。その間、本当に多くの方たちがこの作品を応援し、支援し、共に歩んでくださいました。心から感謝しています。
 昨年10月にクランク・インした『百合子、ダスヴィダーニヤ』は約1か月の静岡ロケを終え、福島県猪苗代湖の実景を撮影してクランク・アップいたしました。その後4か月に亘る編集作業や音入れ作業などを経て、2011年3月 、無事完成いたしました。
3月10日にスタッフ試写を行い、さあ、これから!と意気込んだ翌日、あの未曾有の大震災が起こりました。そして、続いての原発事故・・・。


 マスコミ試写など予定していたことは全て延期となり、被災地の信じられないような惨状、続く余震、人災とも言える原発事故に対する政府や東電のあまりにも身勝手な対応、放射能の恐怖、等々、今だかつて経験したことのない事態に立ちすくんでおりました。
しかし、作品を抱えていつまでも茫然としているわけにはいきません。私もまた、この映画を命がけで生み出したのです。前に進もう、そう決意いたしました。


 お陰様で、東京での劇場公開は秋にユーロスペース(渋谷)でのロードショーが決定いたしました。また、ロケ地である静岡市での先行ロードショー(6月18日〜7月1日・ミラノ座)を初め、名古屋(シネマスコーレ)、京都(京都シネマ)、大阪(第七藝術劇場)、神戸(神戸アートビレッジセンター)、などでの公開が決まりつつあります。
そして、まだまだ大変な状況ではありますが、映画の実際の舞台である「安積・開成山」(福島県郡山市)を初め、福島、山形、盛岡など東北各地でも上映できるように頑張っていきたいと思っています。
映画祭では、9月にあいち国際女性映画祭への参加が決定、ひろしま平和映画祭、岡山市民映画祭、などが上映を検討してくれています。


 やっとここまでたどり着くことが出来ました。今後は、一人でも多くの皆さまがこの作品を観て、そして広めていってくださいますよう、それが『百合子、ダスヴィダーニヤ』に命を吹き込み、力強く歩み出すことのできる源となりますので、どうぞこれからも変わらぬエールをお願いいたします。
今日までのご支援、本当にありがとうございました!



     2011年4月24日                                                                                      映画監督・浜野佐知